軽減税率は必要か?

消費税率10%への引き上げを1年後に控え、それと同時に導入される軽減税率の話題が多くなってきた。10月4日の日経夕刊では、店内飲食の禁止を条件に、コンビニで販売される食品に軽減税率を導入する方針が報じられたが、現実的に店内飲食の防止ができるか疑問も出ている。

そもそも、軽減税率は必要なのか、また、低所得者対策になるのか?2017年の「家計調査年報」における年間収入階級別1世帯あたりの1ヵ月の支出額データを用いて考えてみよう。

世帯人数2人以上の世帯で、食料への支出額は1ヵ月平均で7万2866円。ここから、軽減税率の対象にならない外食(同1万1902円)、酒類(同3138円)を除くと5万7826円。これに軽減税率分の2%を掛けると1157円。年間で1万3878円となる。

一方、年間収入階級別でみると、外食と酒類を除く食料の支出額は、年間収入200万円未満の4万2746円から、年収1500万円以上の8万802円まで幅がある。軽減される税額は1万259円から1万9392円となる。軽減税率は高所得者ほど得をするとよく言われるゆえんだ。

では、ややこしい軽減税率をやめて、1世帯あたり1万3878円を全世帯に配ってはどうだろう。年収650万円未満の世帯、全世帯の65%が軽減税率導入より税負担が軽くなる。その分、高所得者の負担が重くなるが、消費税の逆進性を考えれば許されるのではないだろうか?

2018年1月現在の世帯数は、5800万7536なので必要な財源は8050億円となる。軽減税率の財源は約1兆円と言われているので、定額の還付額をもう少し引き上げることも可能だろう。政策は「走り出したら止まらない」のかもしれないが、検討が必要ではないだろうか?

(注)上記の議論では新聞代は省略している。2017年の「家計調査年報」によると、全世帯平均の1年間の新聞代は2万9944円。1世帯あたりの減税額は598円。上記に347億円の財源を追加すればよい。


飯塚信夫研究室にようこそ

研究論文、連載記事などを随時アップしています